INTERVIEW

インタビューVo.3

<OSAKA>Iさまの3年目の暮らし

FAMILY

ご本人

CATEGORY

マンション
リノベーション

DIRECTOR

Kenta Hioki

DESIGNER

Rie Shirai

FAMILY ご本人
CATEGORY マンションリノベーション
PLANNER Kenta Hioki
DESIGNER Rie Shirai

趣味の陶芸作品がずらりと並ぶ広い通り土間にダイナミックな勾配天井、
ウッドパネルに囲まれたロフトベッドが印象的なモダン空間。
定年退職を機に好きなことに思う存分没頭できる空間に一新したいと
住まれていたマンションの最上階のお部屋を大胆リノベーション。
引き渡しから3年目、もうすぐ丸4年を迎えるIさま。
4年前に描いていた暮らしのイメージははたして実現されたのか、
現在の暮らしについてじっくりとインタビューさせていただきました。

bus

ー まずはじめに、お部屋をリノベーションしようと思われたきっかけを教えてください。

きっかけは水漏れですね。このマンションは駅前の開発と同時に建てられたのですが、このあたりでは一番古くて。 30何年になるのかなぁ、配管が金属なんです。それが傷んできて角のところからプシューッと水が漏れて、これはどうしようもないなと。 いずれはせなあかんと思っていたので、定年でいったん退職になる60歳を機に全部リノベーションしようと決めたんです。

ー いずれはしようと思われていたのはどういう理由でですか?

ここは9階の角部屋で、抽選で当たった時はすごくいいなと思って喜んでたんですけど、実際に住んでみたら、夏は暑いし、冬は寒いし。結露で壁紙がたわんできて、カビもはえてきて、毎日タオル2枚使って拭かなあかんくらいで。いつか全部やりかえなあかんとは思っていたんです。 窓を2重にして、断熱材を入れて、実家で一人で暮らしている母を呼ぶことも考えていたので段差をなくしてバリアフリーにしてとか。できれば内装なんかも好みの感じにして、ずっと続けてる陶芸とか絵とか、自分が好きなことをのんびり楽しめる家にしたいと思っていました。

ー それでご退職を機に。

そうですね。退職金をどう使おうかと考えた時に、これからの20年を楽しく生きるためのお金にしようと思ったんです。それで60歳になる年の1月からリノベーションしていただけるところをリサーチしはじめました。

ー スクールバスはどうやって知られたんですか?

なんかの本でしたよ。塚口のショッピングモールで立ち読みして、フリーペーパーやったかな。部屋の写真がすごく素敵だったんですよ。いい会社だなぁと思って頭の片隅に残ってて。で、リノベーションってなった時に思い出したんです。スクールバスっていう名前がインパクトあって憶えてたんでしょうね。お願いする先を選ぶ時に候補に入れてました。

ー 差し支えがなければ、スクールバス以外の候補はどんな会社だったか教えてください。

一応、大手さんは見とこうと思ってお声掛けしました。担当いただいたのがすごい営業が上手な女性の方で、パソコンを操作してぱぱぱっと完成図みたいなのを見せてくれるんです。ここにこれがきてここがこうなってってご説明いただくのですが、やっぱりなんか思ってるテイストと違って。お伝えするんですけど、なかなかわかってもらえず。わかってもらえたとしてもオプションですごいお金がかかる感じもしましたし。あと、小さい設計事務所さんにも行きましたが、お話を聞いてる中で難しそうだなと思ってやめました。

bus

ー スクールバスを選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?

スクールバスさんの名前を思い出してホームページを見てみて、やっぱり素敵だなと思って。でも一番はちゃんとわかってもらえたことですね。こんな感じとか、こんな雰囲気っていうのを正確に理解してもらえるのが嬉しくて。まさか自分でもこんなにわがまま言うとは思ってなかったんですけど(笑)。間取りなんか何回も変えていただいて。いろいろ迷いながら最終的にはやりたいことを全部叶えてくださいました。

これ見てください。今の間取りと全然違うでしょ。最初はこんなふうにいっぱい部屋があって、孫が遊ぶところとか、親が寝るところとか、作業部屋なんかもあって。いつもダイニングテーブルで作業してるからいらないかなぁとか話してましたよね。この辺になるとだいぶ部屋数が減りましたね。

ー ロフトのプランがなかなかでてきませんが。

ロフトはほんとに最後のほう。解体が始まってからですからこの辺ですね。現地調査に来ていただいた時点で、「もしかしたら天井を開けられるかも」みたいなことはおっしゃられてたんですが、実際には開けてみないとということで。着工してから決まってた間取りがまたガラッと変わりました。

ー 最初の間取りプランやメモなんかも全部残されてるんですね。

そうです、そうです。あまりにも楽しすぎて細かいものまで全部取ってあります。

ー やっぱりリノベーションは楽しまれましたか。

楽しかったですねぇ。やっぱりものづくりが好きなんで。仕事が終わってから毎日ここに来てました。ここはこうできるんですか?とか職人さんとお話ししたりして。ロフトの高さが少し高かったので、もうちょっと低くできますか?みたいな。この和ダンスもあっちに置くか、こっちに置くか、現場でね。最後は階段にしちゃえって(笑)。登る時ちょっと不安なんで上に板でも貼って補強してもらえませんかってお願いしたら、「それは見た目が悪いから中から補強させてください」って言ってタンスに潜り込んで作業してくださったり。ほんと嬉しかったですね。

bus

ー お引き渡しから3年目、もうすぐ丸4年になります。この4年で暮らしにどんな変化があったでしょうか?

そうですね。いつ母が来てもと思って準備はしていたのですが、思いのほか来ないもんで。まだ嫌みたいです(笑)。実家のほうに友達がいっぱいいるからそっちのほうが楽しいんだと思います。ですのでこの4年間は一人の時間を満喫させてもらいましたね。好きに陶芸を作れますし、絵も描けますし、ピアノも弾きますし。

そう、ピアノはリノベーションしてから始めました。クラシックピアノは子供の頃やってて、楽譜通りに弾かないといけないのが嫌でやめちゃったんですけど、コロナ禍で世の中の色んな活動がストップしてしまった時に、有名なジャズピアニストの方が毎晩生演奏を無償で配信されていることを知って。それから毎晩お酒を飲みながら見るのが楽しみになって、この電子ピアノを買ってまた練習するようになったんです。もともとここは読書をするスペースとして作ってもらってたんですけど、見てください、ピアノがカウンターにぴったり納まるんです。

高さなんかも演奏するのにちょうど良くて。角部屋の角ですし、断熱材もたくさん入れていただいて防音も効いているから思う存分弾けるんです。

こっちはガムランっていうバリの楽器で、これはリノベーションをする前から友達に教わってたまに弾いてたんですが、前はこうやって音が出ないようにして練習してたんです。断熱材を入れてもらったらオプション的に防音も付いてきて、これは嬉しい誤算というか、想定外でしたね。

ー ピアノ、めちゃくちゃかっこいいです!以前取材させていただいた時はこんなに植物がなかったように記憶していますが。

植物の栽培もリノベーションをしてからはじめました。なんか緑がほしいなと思って買ってみたらこんなに増えちゃって。これなんか100均で買ったやつなんです。鉢を作って大きいのに変えていったらそれに合わせてこんなに大きくなって。植物に関しても断熱効果というか、窓辺のこの場所が程よい温室状態になっててほんとによく育つんですよ。

ー 音楽と植物、他には?

あとはなんでしょう。料理なんかは以前から好きでやってますけど、コロナ禍で人を家に呼べなかったので、自分のために好きなものを作ってた感じですね。

ー お料理もお好きなんですね。新しくなったキッチンはいかがでしたか?

めちゃくちゃ使いやすいです。特に便利な機能が付いているとかではないですが、木の板で仕切られているだけのオープンな収納が私にとってはすごく良くて。なんでも入れられて取り出しやすいのが気に入ってます。この調味料を入れるやつはだいぶ前に自分で作ったものなんです。これを壁に取り付けてくださいって職人さんにお願いしたら、水平がでたらめなもんで、「これどうつけます?」ってずっと笑いながら作業されてました(笑)。あと、キッチンと洗面スペースを繋いでいただいたのもすごく良かったですね。

ー 陶芸作品も以前よりかなり増えていますね。

ほんとに自分のために好きなものを作っているだけなので、増えはしますが全然減らないんです(笑)。素敵な空間にしていただいて、飾れるところもたくさんあるので尽きないですね。 リノベーションしていただいてからいろんなことをはじめるようになって、今はインプットよりアウトプットのほうが楽しくなっています。

ー エネルギーに溢れていますね。お子さんやお孫さんの反応はいかがでしたか

東京に行っちゃったので今は年に2回、お盆とお正月に来て泊まって帰ります。この広い空間に布団を5組くらい敷いてキャンプ場みたいにみんなで雑魚寝するんです。孫はすごい楽しそうで、このロフトの階段なんかも好きですね。落ちないかひやひやですが、走り回ってます。

ー 断熱材のお話も何度か出ましたが、実際の効果はいかがですか?

それはすごく実感していて、冬の結露がいっさいなくなりました。毎日拭いていたのが嘘みたいで。壁と天井にも断熱材を入れていただいているのでほんと快適ですね。エアコン1台で過ごせるので光熱費もずいぶん変わりました。

bus

ー これからの20年を楽しく生きるためのお家を目指されたということでしたが、この先何か計画されていることはありますか?

具体的な計画はありませんが、やりたいなと思ったことはなんでもやっておきたいなと。父の介護が大変だったという記憶もあり、いつまでもこの自由な生活が続くわけではないということは思っているので、興味があることはできるだけ逃さずに暮らしていけたらなと思っています。 あとはそうですね。コロナも落ち着きましたし、せっかくこんな素敵なお部屋にしていただいたので、一人で満喫するのもいいですが、もっと人を招いて楽しんでみるのもいいのかなと思ったりしています。

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INTERVIEWER:松本直丈
ノウル株式会社・コピーライター。建築・インテリア関連の取材・執筆多数。現在、自宅マンションのリノベーションを検討中。

   
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