リノベーションを検討されている方の中には、「ラーメン構造」「壁式構造」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
この2つの言葉は、住宅建物の構造に関する言葉です。
構造の違いにより、建物の耐震性やリノベーションのしやすさも変わってくるのです。
本記事ではこの「ラーメン構造」と「壁式構造」の違いについて、それぞれの特徴とメリットもあわせてご紹介していきます。

 

ラーメン構造とは?

額縁や枠を意味するドイツ語の「Rahmen」が、ラーメン構造の名前の由来となっています。
垂直に建つ「柱」と柱の間を水平方向につなげてかけている「梁」によって、長方形を構成する構造が「ラーメン構造」です。
ラーメン構造は筋交いの無い壁構造となりますが、柱と梁の「枠」を作ることで強度・耐震性を確保し、しっかりと建物を支えてくれます。
ラーメン構造は一戸建て住宅などの低層建物から、高層マンションなどの大規模な建物にまで幅広く取り入れられています。
またリノベーションを行う際も、間取りを変更しやすいという点がポイントになります。
一方で柱・梁が室内に露出してしまうという点が、気になるという人もいるかもしれません。

 

壁式構造とは?

「天井」「床」「壁4枚」の計6枚の壁を使って空間構成される構造が「壁式構造」です。
ラーメン構造のような柱・梁でなく、床・天井などの壁=「面」によって建物を支える造りとなっています。
そのため柱・梁の露出による室内のデコボコ感もなく、印象がすっきりとまとまった空間になります。家具や雑貨などの配置もしやすいでしょう。
ただ建物を支える基盤の「壁」を除去することはできないため、間取り変更などの大きなリノベーションを行う際、その自由度は低めであると言えます。
また、壁式構造はラーメン構造と比較すると本体重量が大きいため高層建物には不向きです。
そのため、5階建てあたりまでの低層マンションで主に取り入れられています。

 

 

ラーメン構造と壁式構造の見分け方は?

ラーメン構造と壁式構造の見分け方についてご紹介します。

「間取り図」で見分ける

構造の違いによって家具配置やリノベーションも変わってきます。
しかし物件を購入する際、広告などを見ても「ラーメン構造」「壁式構造」の記載はされていない場合がほとんどです。
その際の見分け方として分かりやすいのが、「間取り図」を確認するということです。
室内に柱などの出っ張りが出ていればラーメン構造です。
しかし、簡略化されている「間取り図」もあるため、出っ張りがないから壁式構造と言い切るのは難しいでしょう。
「部屋上部に梁が出っ張っている」「部屋の隅に柱が出っ張っている」といった場合、ラーメン構造である可能性が高いと言えます。

 

「階数」を確認する

ラーメン構造と壁式構造の見分け方として、建物の階数を確認するという方法もあります。
「建築基準法」や「施行令」では、一定基準を満たさない限り、壁式構造の建物は5階以下に設計するよう定められています。
また壁式構造は高層建物向けではないことから、6階より高いマンションの場合はラーメン構造を取り入れている可能性が高いです。

 

それぞれのメリットは?

ラーメン構造と壁式構造のそれぞれのメリットをご紹介します。

ラーメン構造のメリット

間取りを自由に設計できる

壁が無い構造であることから、間取りを自由に設計することが可能です。
そのため、部屋同士を繋げることも可能で、より広い空間を作り出すことができます。
基本的にラーメン構造は柱・梁により構築されているものなので、建物構造に影響を与えることが無い軽鉄やボードで作られた壁であれば、比較的自由に移動させたり、取り外したりすることができます。
リノベーションを行う際、壁を取り外す作業というのも簡単に行えるため、自由度の高い間取り変更が可能である点は大きな魅力だと言えるでしょう。

 

空間を広く使うことができる

ラーメン構造は空間を広く使用できるというメリットがあります。
ラーメン構造は柱と梁によって構成されており、接合部を剛接合することで建物の耐震性強度を高めています。
ラーメン構造であれば建物の構造上、分厚い壁を必要としないため、壁の数を減らしたり壁を薄くしたりすることができ、風通しの良い広い空間を作ることができます。

 

壁式構造のメリット

すっきりとしたシンプルな空間に

壁式構造は建物を壁で構成するという特徴があるため、空間をすっきりとした印象にすることができます。
柱や梁のような「出っ張り」が部屋に無いため、部屋がシンプルになります。
室内がシンプルな印象にまとまることから、家具・雑貨などの配置がしやすくなります。

 

遮音性・防音性、断熱性に優れている

壁式構造には、厚みのある耐力壁が取り入れられているため、遮音性·防音性、断熱性に優れているという点もメリットとなるでしょう。
壁が分厚いので音をしっかりと遮断し、防音性も高いため、音楽鑑賞や映画鑑賞なども思う存分楽しむことができます。
また暑さ·寒さが厳しくなる真夏や真冬の季節でも、冷暖房を効率良く利用できることから、節電も期待できます。

 

建物が強固かつ耐震性にも優れている

壁式構造は建物が強固かつ耐震性にも優れているという魅力があります。
ラーメン構造は接合部分を剛接合することで建物強度を高める造りとなっており、柱・梁などの「線」で建物を支えています。
一方、壁式構造は、「耐力壁」という面での建物構成となっているため、ラーメン構造以上に丈夫な造りであり、耐震性にも優れているのです。

 

それぞれの注意点は?

ラーメン構造と壁式構造のそれぞれの注意点をご紹介します。

 

ラーメン構造の注意点

柱・梁が出っ張って部屋に凹凸ができる

ラーメン構造は建物を支える頑丈な柱・梁が出っ張っていているという特徴から、どうしてもそれが目立ってしまうという注意点があります。
そのため、見た目的な部分で圧迫感を感じたり、実際の間取り以上に空間が狭く感じてしまったりすることがあります。
また、柱が邪魔をして、家具が上手に配置できないということも。

 

横からの力に弱い

柱·梁の接合部を剛接合することで建物の耐震性を高めているという特徴がありますが、元々の基本構造は「枠」で作られているため、横から加えられる力には弱いという特徴があります。
従って、どちらかと言えば横揺れに弱く、壁式構造よりも耐震性の面では少し劣ってしまうという注意点があります。

 

費用が高くなってしまうことも…

ラーメン構造はリノベーション費用が比較的高くかかってしまいやすいという注意点があります。
基本的にはメリットが多い構造になっているのですが、壁式構造などほかの構造と比べるとコストがかかっている構造であるため、その分建築費用も高くなってしまう傾向にあるのです。
部屋に出っ張りが出てしまっている部分に関しては、「逆梁工法」「逆梁アウトフレーム工法」により、出っ張りを無くすということが可能となりますが、コストがより高くなってしまうことがあるため注意しなければなりません。

 

壁式構造の注意点

間取り変更の自由度は低め

間取り変更の自由度は低めであるという点が注意点として挙げられます。
壁により建物が構築されており、壁が建物全体を支える仕組みをしています。
壁式構造の場合、リノベーションの際も壁を取り除くことができないため、間取り変更の自由度は低いとされているのです。
ただ、すべての壁が建物を支えているとは限らないので、軽鉄·ボードといった簡易的な壁の場合はラーメン構造と同様に取り外しや移動することができます。

 

窓・ドアのサイズが制限される

もう一つの注意点として、窓·ドアのサイズが制限されてしまう部分にも注意しなければなりません。
壁式構造は壁によって建物が支えられている仕組みとなっているため、鉄筋コンクリートの耐力壁の場合、窓・ドアの設備のサイズ感や数、場所にも制限がかかるのです。
「日光をもっと取り入れたい」「風通しを良くしたい」という場合でも、窓やドアの位置を変えたり、サイズ感を変えたりすることが難しいということが言えます。

 

おわりに

本記事では「ラーメン構造」と「壁式構造」の違いについて、それぞれの特徴とメリットもあわせてご紹介してきました。
住宅の骨組みや壁の構造など建物内部に関しても自分自身できちんと把握しておくことで、安心·安全にリノベーションを行うことができるでしょう。
あなたの住宅の構造に適したリノベーションを行って、理想の住宅を手に入れてください。

 

 

タグ : 壁式構造 ラーメン構造 リノベーション
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